“ぽっくり逝く”と“突然死”、言い方ひとつで印象は変わりますが同じです。 ぽっくり死予防で、その治療はしますか?

医療のこと

こんにちは、かずたです。

急性期病院に勤務している医師です。

延命のための治療、今回大動脈弁狭窄症について考えたいと思います。

大動脈弁は、心臓から体に血液を送るのに大事な弁です。

ここが狭くなる大動脈弁狭窄症は、突然死の原因の一つです。

この治療として、近年低侵襲で行うことができると出てきた治療法が

TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)と言われる方法です。

この治療法は患者さんにとって、従来の方法に比べると比較的体の負担が少なく行うことができる手術です。

また医療者側としても、年に数十件このような手術を行わないと施設認定が取れないことや、技術の研鑽のため手術をしたいと考えている医師もおり、手術を積極的に勧められることもあると思います。

いいことと思われるかもしれませんが

この治療法は、高い材料(大動脈弁は1個400万前後)をつかって行います。

一回あたりの手術で600万円ほどの費用がかかります。

15K08850 研究成果報告書 (nii.ac.jp)

このうち患者さんに請求される費用は、年齢や年収によって変わりますが、70歳以上年収370万円未満では57600円です(ただし部屋代や食事代などの入院にかかる請求費は除く)。

それ以外は国の負担です。

大動脈弁狭窄症は、原因として動脈硬化性のことも多く患者さんは高齢者が多いです。

現在90歳などの超高齢者にもこのような治療を積極的に行っているのが現状です。

そもそも数年で寿命がくるであろう患者さんに、突然死予防に、600万かける。

手術自体も負担は少ないとは言っても、心臓の手術です。

手術の合併症で脳梗塞が起きることもあります。

高齢者の方は、入院する期間が長くなるだけでも認知機能が低下することはよくあることです。

もしかしたら手術をしないでいたほうが、認知力低下することなく最後まで自分らしく過ごせ、ポックリ逝くことができるかもしれない。

そんな状況だってあり得るのです。

高齢者にぽっくり死予防で、その治療はしますか?

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