透析患者さんの出口戦略は、スクリーニング検査をしないこと。

医療のこと

透析患者さんも、以前では透析が始まってから20年以上経過するのはまれでしたが、
現在ではそれ以上継続できることができるようになってきました
そうなると、必然的に透析を受ける方が高齢者になりますので、
透析患者さんの半数以上が認知症という施設もあるようです。


しかし、透析を中止する=死 ということ
であり途中でやめることができません。
日本には透析のために生きている、そんな状態があります


それを防ぐにはどうしたらいいのか?
基本的にはある年齢を過ぎたら、スクリーニング検査をしないことだと考えます。

透析患者さんでは心血管系の合併症が起きやすかったり、癌の発生が多い可能性があるなどの報告もあり、定期的にスクリーニング検査が行われています。
そして早期に異常を見つけて、治療をするということが行われます。



このようなスクリーニング検査を75歳以上では行わないなどにしたほうがいいのではないかと思います。
異常を見つけると、治療を医療者も本人も家族もしたくなるものです。
また今ある不調を、そのせいにしてしまいがちです。
たとえそれが老化によるものだとしてもです。



アメリカ腎臓学会では2012年に,平均余命が5年未満の透析患者に対する癌のスクリーニング検査は生存率改善にはつながらず,費用対効果は高くないことから,「平均余命が少ない透析患者で症状がないようであれば,悪性腫瘍に対する定期のスクリーニング検査は行わない」ことを推奨している
といったこともあります。

日本でも健康寿命を過ぎたら、そういったスクリーニング検査はしなくていいのではないかと思います。
透析患者さんの癌治療や心血管手術は、合併症リスクも非常に高いです。
そのようなリスクを負う手術をせず、自然に枯れていくような方針がいいのではないかと私は考えます。




福生病院での透析中止はいろいろ問題があったとは思いますが、透析患者さんの尊厳死についてもぜひ議論をすすめるべきとは思います。
しかし個人個人で、透析中止の判断を行うのは、やはり難しいでしょう。
透析そのものを中止にする、というよりは、その他の老化現象で枯れていく方が、自然な形のように思えます。


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