老いや死は生き物である以上避けられないものです。
老いは、誰よりも自分が一番感じるものだと思います。
親世代が徐々に自分の老いを受け入れ、人生を自分らしく全うする準備がある一方、
子供世代が、親の老化を受け入れることが難しい場合が多いと感じます。
そして親が望んでいないにもかかわらず
「少しでも可能性があるなら、治療をしてほしい」と子供世代が希望し、親を説得し、手術することになることは本当に本当に多いです。
高齢者での癌や心血管系の病気は、「老い」です。
でも本人が望んでいない治療やリハビリを頑張ってすすめるなど「老い」を治そうとしてしまう。
どんなにお元気な方でも、やはり80代、90代で大きな手術をするということは、ご本人にとって大きなストレスになります。
手術が成功したとしても、高齢者では合併症も起こりやすいです。
また大きな手術では入院期間も長いものです。その間に体も頭も弱ってしまうことは少なくありません。
すると、入院前は自立して生活できていた方も、体力や認知機能がおちてしまい、急激に自立度が下がってしまいます。
また化学療法にしてもそうです。副作用でかなり苦しむこともあります。
結局その人らしくその後を過ごすことが出来なくなってしまうことが少なくないのです。
治療せずに家にいたほうが、ずっと穏やかに暮らせたし、家族との時間もたくさんもてたのではないか、そう思うことは多いです。
また高齢期の生活が病気の治療一色になってしまうのも決して幸せなことではないと思います。
元気な親でいてほしいと望んだ治療が、かえって本人を苦しめることになることも少なくないのです。
昔のように元気でいてほしいからできる限りの治療をしてほしい、
もし本人が望んでいないのならば、それは子供世代のエゴではないでしょうか?
最後まで「老い」に抗う過ごし方を否定するつもりはありませんが、
「老い」を受け入れる過ごし方もあって然るべきです。
そのような過ごし方をしたいと親が言っていたら、それは尊重してあげてほしいと思います。
その人らしく、ご家族と楽しい時間を過ごせる時間を増やすことが、私は幸せな老後の過ごし方だと思っています。
コメント